ヨーロッパの獣脚類の記録を増やす:カメロス盆地(スペイン、ラ・リオハ州)のエンシソ層群から産出した新しい基盤的スピノサウルス類。進化的意義と古生物多様性

解説

 この論文は、スペインのラ・リオハ州にあるカメロス盆地のエンシソ層群という地層から発見された新種の恐竜について紹介しています。この恐竜は、スピノサウルス科という肉食恐竜の仲間で、リオハベナトリクス・ラクストリス(Riojavenatrix lacustris)という学名がつけられました。スピノサウルス科は、頭部がワニに似ていて、背中には帆状の突起がある特徴的な恐竜です。この恐竜は、イベリア半島やヨーロッパで最も新しい時代に生きたスピノサウルス科の一種で、その進化や多様性について新しい知見を提供しています。

 

 次にリオハベナトリクスの骨格の特徴や分類について詳しく説明しています。リオハベナトリクスは、背骨や骨盤、後肢の一部が発見されていますが、それらの骨には他のスピノサウルス科とは異なる形や組み合わせが見られます。例えば、恥骨の先端が三角形になっていたり、大腿骨の内側の突起が斜めになっていたりします。これらの特徴は、リオハベナトリクスがスピノサウルス科の中でも基盤的な位置にあることを示しています。基盤的とは、進化の過程で分岐した枝の中で最も古いという意味です。リオハベナトリクスは、スピノサウルス科の中でもバリオニクス亜科というグループに属していますが、その中でも最も新しい時代に生きたものと考えられます。

 

 そして、リオハベナトリクスの発見が、スピノサウルス科の進化や多様性にどのような影響を与えるかについても議論しています。スピノサウルス科は、白亜紀前期にアフリカやヨーロッパで繁栄した恐竜ですが、その後の化石記録は非常に少なくなります。リオハベナトリクスは、白亜紀前期の終わりごろに生きたスピノサウルス科の一種で、イベリア半島やヨーロッパで最も新しい時代に生きたものとして知られています。これは、スピノサウルス科がアフリカやヨーロッパで絶滅する前に、まだ進化や分化を続けていたことを示しています。また、リオハベナトリクスは、イベリア半島で発見されたスピノサウルス科の恐竜の中でも最も完全な化石であり、その地域の恐竜の多様性や生態系についても貴重な情報を提供しています。

 

 さらに、スピノサウルス科という恐竜のグループについて、新しい種の発見やその特徴、進化、多様性について詳しく紹介しています。スピノサウルス科は、白亜紀前期にアフリカやヨーロッパで繁栄した恐竜ですが、その後の化石記録は非常に少なくなります。リオハベナトリクスは、白亜紀前期の終わりごろに生きたスピノサウルス科の一種で、イベリア半島やヨーロッパで最も新しい時代に生きたものとして知られています。これは、スピノサウルス科が絶滅する前に、まだ進化や分化を続けていたことを示しています。また、リオハベナトリクスは、イベリア半島で発見されたスピノサウルス科の恐竜の中でも最も完全な化石であり、その地域の恐竜の多様性や生態系についても貴重な情報を提供しています。

 

 

要旨

 エンシソ層群(最上部バレミアン-下部アプチアン)からイゲア(スペイン・ラ・リオハ州)から産出した軸椎、骨盤帯、後肢の要素から、独自の形質の組み合わせを示すスピノサウルス科の新たなメンバーが記載される。Riojavenatrix lacustris gen. et sp. nov.は、イベリアとヨーロッパのスピノサウルス類では最も新しい分類群のひとつである。メガロサウルス類と同様に三角形の恥骨を持ち、大腿骨の内側顆は、スピノサウルス類以外の獣脚類の前後方向の長軸とスピノサウルス類の後内側の長軸の間の過渡期を示す。スピノサウルス科の記録は、これまでのところイベリア半島では後期オーテリビアン-前期バレミアンから最上部バレミアン-前期アプチアンにかけてのものが知られており、最古および最新の証拠はともにカメロス盆地から産出している。スピノサウルス科の記録を再検討した結果、イベリアからのバリオニクス属の存在を否定することができた。したがって、イベリア前期白亜紀に存在すると考えられるのは、カマリヤサウルス、イベロスピナス、プロタスリティス、リオハヴェナトリックス属新種、ヴァリボナヴェナトリックスのみである。本研究によると、リオハベナトリックスは化石記録の中で最も若いバリオニクス類のひとつである。

論文 Erik Isasmendi, Elena Cuesta, Ignacio Díaz-Martínez, Julio Company, Patxi Sáez-Benito, Luis I Viera, Angelica Torices, Xabier Pereda-Suberbiola, Increasing the theropod record of Europe: a new basal spinosaurid from the Enciso Group of the Cameros Basin (La Rioja, Spain). Evolutionary implications and palaeobiodiversity, Zoological Journal of the Linnean Society, 2024;, zlad193, https://doi.org/10.1093/zoolinnean/zlad193

 

要約

Introduction: この章では、スピノサウルス科の分類学的位置づけと進化的特徴について概説し、ヨーロッパの白亜紀前期におけるスピノサウルス科の多様性と分布について議論する。また、スペインのカメロス盆地から発見された新たなスピノサウルス科の化石標本について紹介し、その記載と系統解析の目的と方法を説明する。

 

Geological setting: この章では、カメロス盆地の地質学的背景と層序学的枠組みについて述べる。カメロス盆地は白亜紀前期に形成された大陸性の堆積盆地であり、エンシソ群と呼ばれる地層群が露出している。エンシソ群は主に砂岩、泥岩、石灰岩からなり、湖沼、河川、氾濫原、三角州、海岸の環境を反映している。新種のスピノサウルス科の化石は、エンシソ層群の下部にあたるバレンシア層の上部から産出した。

 

Material and methods: この章では、新種のスピノサウルス科の化石標本の保存状態と所属部位について詳細に記述する。化石標本は、脊椎、仙椎、尾椎、恥骨、大腿骨、脛骨、踵骨、趾骨などの骨格要素からなり、部分的に破損や変形が見られる。また、化石標本の記載に用いた用語と略語について定義し、系統解析に用いたデータセットと方法について説明する。系統解析は、既存の獣脚類の形質行列に新種のスピノサウルス科のデータを追加し、最大節約法と最尤法で行った。

 

Systematic palaeontology: この章では、新種のスピノサウルス科の分類学的位置づけと形態学的特徴について詳細に記述する。新種のスピノサウルス科は、Riojavenatrix lacustris gen. et sp. nov. という学名を与えられ、スピノサウルス科の中でもバリオニクス亜科に属すると判断された。新種のスピノサウルス科は、脊椎、仙椎、尾椎、恥骨、大腿骨などの骨格要素において、他のスピノサウルス科とは異なる独自の組み合わせの特徴を示す。例えば、恥骨の足根は三角形であり、メガロサウルス科と共通するが、大腿骨の内側顆は、非スピノサウルス科の獣脚類とスピノサウルス科の中間的な位置関係を示す。また、学名の由来について説明する。属名Riojavenatrix は、産地であるスペインのラ・リオハ州と、ラテン語で狩人を意味する venatrix からなり、種小名lacustris は、ラテン語で湖を意味する lacus に由来し、化石が湖沼環境の堆積物から産出したことを示す。

 

Phylogenetic analysis: この章では、新種のスピノサウルス科恐竜 Riojavenatrix lacustris の系統的位置を決定するために、既存の恐竜の分岐学的データベースに基づいて系統解析を行った。その結果、Riojavenatrix はスピノサウルス科の中でもバリオニクス亜科に属し、バリオニクス、クリストバトラクス、スクトバトラクスと近縁であることが判明した。また、Riojavenatrix は骨盤や後肢の形態から、スピノサウルス科の中では比較的原始的な特徴を持っていることが示された。Riojavenatrix の系統的位置は、スピノサウルス科の進化史や地理的分布に関する新たな知見を提供する。

 

Evolutionary implications: この章では、Riojavenatrix の発見がスピノサウルス科の進化にどのような意味を持つかについて議論した。Riojavenatrix は、スピノサウルス科の中で最も若い時代のバリオニクス亜科の一員であり、この亜科の生存期間を延ばすことになる。また、Riojavenatrix は、スピノサウルス科の中で最も原始的な骨盤や後肢の形態を持っており、スピノサウルス科の祖先がメガロサウルス科に近い形態を持っていたことを支持する。さらに、Riojavenatrix は、スピノサウルス科の中で最も後肢の長さが短く、この特徴がスピノサウルス科の水生適応の結果であることを示唆する。

 

Palaeobiodiversity: この章では、Riojavenatrix の発見がイベリア半島やヨーロッパのスピノサウルス科の多様性にどのような影響を与えるかについて考察した。Riojavenatrix は、イベリア半島で確認されているスピノサウルス科の5番目の属であり、この地域がスピノサウルス科の重要な分布域であったことを強調する。また、Riojavenatrix は、ヨーロッパで最も新しい時代のスピノサウルス科の一つであり、この大陸でのスピノサウルス科の生存期間を延ばすことになる。さらに、Riojavenatrix は、スピノサウルス科の中で最も原始的な形態を持っており、このグループの進化的多様化の範囲を広げることになる。

 

Conclusions: この章では、本研究の主な結論をまとめた。Riojavenatrix lacustris は、スピノサウルス科の新種であり、イベリア半島やヨーロッパのスピノサウルス科の記録を増やすことになる。Riojavenatrix は、スピノサウルス科の中でもバリオニクス亜科に属し、スピノサウルス科の中で最も原始的な骨盤や後肢の形態を持っている。Riojavenatrix の発見は、スピノサウルス科の進化史や地理的分布に関する新たな知見を提供する。Riojavenatrix は、スピノサウルス科の多様性や適応の幅を示す重要な化石である。

 

リンク

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