2016年

3月

08日

恐竜博2016 記念講演から ファーキ博士

 2016年3月8日、恐竜博2016の初日に、国立科学博物館講堂で記念講演が開催されました。

講演の要旨をノートしたものを整理して載せてみます。講演者の意図や趣旨と異なったものがありましたら、パンテオンの理解不足や忘却によるものです。あくまでも雰囲気を味わう程度にお考えください。

 

アンドリュー・A.ファーキ博士(レイモンド・M・古生物学博物館)

Bringing up Baby Parasaurolophus

 今日は私の博物館で一番素晴らしかった発見についてお話したいと思う。(この後、各関係者に謝辞)ではこれから、最小、最も若く、最も完璧なパラサウロロフスの発見について話したいと思う。頭骨、骨格を見ると、孵化からおそらく体長8mほどの成体まで、どのように成長したかわかる。同時に、古生物学分野で誰でも貢献できる例を表している(高校生が発見)。高校生が活動に参加して、また多くの博物館の友人の貢献もあった。この標本の”JOE“という名前も、支援者の方の一人の亡くなった夫の名からきている。  

 

 小さな赤ちゃんから奇妙な形の大人まで、どう成長したかが、この発見からわかる。カイパロウィッツ層のある、ユタ州南部で発見された。アメリカで最後に残された未開発の産地である。カイパロウィッツ層は7400~7600万年前の地層。当時、北米の西側ララミディアは東西の間を大きな海で隔たれていた。この化石はララミディアの東側の平原で発見されている。この場所では様々な動植物が発見されている。ワニの祖先、初期の鳥類、そしてこの地域のいろいろな博物館が発見した様々な恐竜(画面ではグリポサウルス、テラトフォネウス、他数種の画像)。

 

 アルフ博物館のフィールドワークには高校生が参加しているのが特徴。実際に学生やアマチュアが多くの発見をしている。今日お話しする発見は、2009年、高校を卒業したばかりのケビンという少年と一緒に発掘した時のもの。彼と一緒に歩きながら化石を探していた。ケビンが岩から骨が飛び出しているのを発見した。私は少し離れたところから見ていたが、何らかの恐竜の肋骨。発掘しても無価値と思った。そこから1m位離れた、その隣の岩をひっくり返した。すると私をにらむ恐竜の頭骨があった(頭骨画像)。とてもワクワクした。1恐竜の頭骨だ。2ケビンが見つけた骨の再確認をして、ますます喜んだ。小さな恐竜のつま先の骨と分かったからだ。ある岩の片側に頭、もう片側につま先なら、その間に体がある!ケビンも自分が正しいことがわかって喜んだ。この日は発掘最終日の前日だったので、次回また戻ることにした。次回また戻り、1週間半かかって発掘し、研究所に輸送した。一番近い道路から10㎞以上離れていたので、ヘリ輸送した。 標本が博物館に運ばれ、何か月もクリーニング作業をした。想像以上に骨格の要素が多くあることがわかった。頭骨ももちろんあった。

 小さい恐竜であるとわかり、頭骨もわかったが、どの種類の恐竜であるのかが、わからなかった。ユタのこの地域では鳥盤類、竜盤類両方発見されている。頭骨を分析し、鳥盤類であるとわかった。さらにハドロサウルス類とわかった。ハドロサウルス科には、地味な頭のハドロサウルス亜科と派手な頭・面白い突起をしたランベオサウルス亜科があるが、標本がどちらに属するのかが分からなかった。カイパロウィッツ層では、ハドロサウルス亜科ではグリポサウルス、ランベオサウルス亜科ではパラサウロロフスが発見されている。様々な特徴を見て、ランベオサウルス亜科のパラサウロロフスだろうという事になった。

 

 では、JOEは何歳か?その確認のために骨生物学の専門家である同僚のサラ・モニンに手伝ってもらった。脊椎動物の骨の断面には年輪のようなものがある。JOEの骨、足の骨の断面をプラスチックに埋め込み、スライドを作り、顕微鏡で見た。が、年輪が無い。1歳経っていなかった。1歳といっても人と比べるとかなり大きかった。卵からふ化直後は小さいが、1年経たずに2mになり、8から12年で成体になった。

 成長の過程で頭の形が変わることもわかった。パラサウロロフスが進化の中で変わった突起をもつようになった過程も見ることができる。

 

 パラサウロロフスのほかにも派手な頭を持った恐竜はいるが、パラサウロロフスは頭の突起の長さが特徴的だ。パラサウロロフスは大人の1/3のサイズになった時に突起が出てくるが、近縁のコリトサウルスでは大人の50%くらいのサイズになって突起が出てくる(ヘテロクロニー)。

 

 次に、JOEの頭の中を病院のCTで調べた。脳のあった場所や鼻腔を見ることができた。鼻から喉まで鼻腔が非常に複雑な形をしている。音を出すために鼻腔が複雑な構造になっているという意見がある。音を出すには空気が通る長さが影響するので、大人と子供で比べると鳴き声が違うと想像できる。姿が見えなくても声を聴けば年齢やサイズなどがわかっただろうと想像できる。

 

 2013年に研究成果が発表された。博物館でも今回東京でも展示しているが、科学者として、できるだけ多くの人に化石を見てほしいので、この化石のウェブサイトを作った。カイパロウィッツ層の様々な恐竜などのことを読むことも見ることもできる。世界で一番アクセスしやすい恐竜にするために、ファイル全部を提供しているので3Dプリンターがあればミニチュア骨格を作ることもできる。ぜひ、皆様もダウンロードして新しい発見をしてみてほしい。またケビンと同様、私が間違っていたと見つけてほしい。

 

 このようにパラサウロロフスが成長につれどのように変わるのかがわかる、非常に重要な発見だった。(JOEのサイトはこちらです

リンク

恐竜パンテオン本サイト

 

グラファイトダイナソー

 山本聖士さんのサイト

 

「恐竜漫画描いてます」

 所 十三さんのブログ

 

半紙半生

 森本はつえさんのサイト