主竜形類の中生代初期における成功と運動能力

解説

 この論文は、恐竜やワニの仲間である主竜形類という動物の歩き方がどのように進化したかを調べたものです。主竜形類は、大量絶滅によって多くの動物が死んだ後に多様化し、陸上の生態系を支配するようになりました。しかし、その中でも恐竜は他の動物よりも優れた歩き方を持っていたのでしょうか?それとも、恐竜の成功は他の要因によるものだったのでしょうか?

 

 この論文では、主竜形類の足の骨の形や比率を測定し、コンピューターで分析することで、その歩き方の特徴や変化を明らかにしました。その結果、以下のことがわかりました。

●恐竜は歩き方の幅が広い。恐竜は、二足歩行や四足歩行、走ることや歩くことなど、さまざまな歩き方をすることができました。他の主竜形類は、歩き方の幅が狭く、限られた動きしかできませんでした。

 

●恐竜は歩き方の変化に柔軟だった。恐竜は、地球の気候や環境が変わるたびに、歩き方を変えて適応することができました。他の主竜形類は、歩き方の変化に対応できず、絶滅の危機に陥りました。

 

●恐竜は歩き方の進化に選ばれた。恐竜は、歩き方が速くて効率的な種が生き残りやすいという自然選択の影響を受けて、歩き方を進化させました。他の主竜形類は、歩き方の進化に選ばれることは少なかったです。

この論文は、恐竜の歩き方がどのように進化したか、そしてそれが恐竜の成功にどのように関係したかを科学的に説明したものです。恐竜の歩き方は、恐竜の生態や行動にも影響を与えていたと考えられます。この論文は、恐竜の生き方や歴史をより深く理解するための重要な手がかりを提供してくれます。

 

詳しくは、ブリストル大学のニュースをご覧ください。

 

論文要旨

 三畳紀は、ペルム紀-三畳紀大量絶滅から生命が回復するという生態学的な激変の時代だった。主竜形類 はその回復の重要な構成要素であり、三畳紀において恐竜、翼竜、ワニ形上目の起源を含む多様な分化を遂げた。ここでは、主竜形類 の運動能力の進化を探り、恐竜が他のグループと比べて特異な運動能力の特徴を持っていたかどうかを検証する。我々は、肢骨の形態を幾何学的形態計測法で分析し、二足歩行性と走行性を評価するために肢比率を計算した。我々は、アヴェメタターサリア(鳥中足骨類 恐竜、翼竜および近縁群)が他のグループよりも肢骨の形態と肢比率においてより多様な変異を示し、運動能力の幅が広いことを発見た。最初期の アヴェメタターサリア は二足歩行性で走行性が高く、三畳紀を通じてその形態の範囲は大量絶滅イベントの後に多様化のシフトを伴って増加した。これは特に恐竜において顕著だったが、これらの変化は確率的な過程から識別することはできなかった。一方、偽鰐類Pseudosuchia(ワニ類と近縁群)は肢骨の形態と運動能力のモードがより制限されており、時間とともに不均質性が減少し、運動能力の適応と絶滅の脆弱性を示唆していた。おそらく、恐竜の運動能力の可塑性が、後期三畳紀の気候変動の中で競争上の優位高めたのだろう

 

論文

Shipley, A. E. et al.2024 Locomotion and the early Mesozoic success of Archosauromorpha https://doi.org/10.1098/rsos.231495

 

論文要約

 この論文は、三畳紀に多様化した爬虫類のグループである主竜形類の運動能力の進化について、形態学的、生物力学的、系統発生的な手法を用いて分析したものです。各章の要約は以下の通りです。

 

●Introduction(序論):主竜形類は、恐竜、翼竜、ワニなどを含む大きな系統群で、三畳紀に地球上の生態系の回復に重要な役割を果たした。このグループの成功の要因として、運動能力の向上がしばしば挙げられるが、その具体的なメカニズムや系統間の比較は十分に行われていない。本研究では、主竜形類の四肢骨の形態変異や比率を測定し、二足歩行や走行能力の進化を探る。また、系統樹と時系列データを用いて、運動能力の進化速度や選択圧を推定する。

 

●Material and methods(材料と方法):本研究では、主竜形類の有効な種のうち、四肢骨の情報が得られる208種を対象とした。各種の大腿骨、脛骨、腓骨、第三中足骨、上腕骨、橈骨、尺骨、第三中手骨の画像と長さを収集し、幾何学的形態計測法で形状を分析した。また、四肢骨の比率から、二足歩行や走行能力を示す指標を計算した。さらに、系統樹と時系列データを用いて、運動能力の進化速度や選択圧を推定した。

 

●Results(結果):主竜形類の四肢骨の形態変異は、系統間や時代ごとに大きな差がなかったが、アヴェメタターサリア(鳥中足骨類 恐竜、翼竜など)は他のグループよりも形態の多様性が高く、特に恐竜は二足歩行や走行能力に関連する特徴が顕著だった。一方、偽鰐類(ワニなど)は形態の多様性が低く、時代とともに減少した。運動能力の進化速度は、アヴェメタターサリアと偽鰐類の間に有意な差がなかったが、アヴェメタターサリアでは三畳紀後期の大量絶滅イベントの後に速度が上昇した。また、恐竜の中では、竜脚類や鳥盤類の一部の系統で、運動能力に対する正の選択圧が検出された。

 

Discussion(議論):著者らは、三畳紀からジュラ紀にかけての主竜形類の四肢骨の形態変異と比例関係を分析し、その多様性と進化速度を時系列的に評価した。アヴェメタターサリア(恐竜、翼竜など)は、他のグループよりもより多様な四肢形態と比例関係を示し、二足歩行と走行能力の高い初期の形態から、四足歩行や飛行などの様々な運動モードに適応したことが示唆される。恐竜は、三畳紀後期のカルニアン湿潤期(CPE)と三畳紀-ジュラ紀境界の大量絶滅(ETME)の後に、形態変異と進化速度の上昇を経験した。これは、気候変動や生態系の混乱に対応するための適応的な変化である可能性がある。偽鰐類(ワニ類など)は、アヴェメタターサリアよりも限られた四肢形態と比例関係を示し、時代が進むにつれてその多様性と進化速度は減少した。これは、運動モードの多様化に制約があったことや、環境の変化に対応できなかったことを反映していると考えられる。主竜形類の四肢形態は、体サイズや系統関係だけでなく、運動モードや生態的役割にも影響されていることが分かった。特に、二足歩行や走行能力は、恐竜の成功に重要な要因であったと推測される。

 

Conclusion(結論):著者らは、主竜形類の四肢形態の多様性と進化速度を時系列的に分析し、三畳紀からジュラ紀にかけてのそのグループの進化史に新しい知見を提供した。

アヴェメタターサリアは、他のグループよりも高い形態変異と進化速度を示し、様々な運動モードに適応したことが明らかになった。恐竜は、CPEとETMEの後に、特に顕著な形態変化と進化加速を経験した。偽鰐類は、アヴェメタターサリアよりも低い形態変異と進化速度を示し、運動モードの多様化に制約があったことが示唆された。偽鰐類の多様性と進化速度は、時代が進むにつれて減少した。

 

 

リンク

恐竜パンテオン本サイト

 

グラファイトダイナソー

 山本聖士さんのサイト

 

「恐竜漫画描いてます」

 所 十三さんのブログ

 

半紙半生

 森本はつえさんのサイト