福井県立恐竜博物館の研究者とタイの研究員の共同研究の成果として、タイ東北部、Nakhon Ratchasimaの下部白亜系 Khok Kruat 層から産出したイグアノドン類の歯骨に基づき、新属新種が記載されています。
以下、福井県立恐竜博物館プレスリリースを転載します。
タイと共同研究しているイグアノドン類が新属新種として認められました。
このたび、タイ王国から産出したイグアノドン類について、当館研究員とタイの研究員による共同研究の結果、新属新種として認められましたので報告いたします。
2007年よりタイ王国ナコーン・ラチャシーマ県にあるナコーン・ラチャシーマ ラジャパット大学付属珪化木・鉱物資源東北研究所と共同で、同地域に分布する前期白亜紀の地層、コク・クルアト層の恐竜について発掘および調査研究をおこなっています。その中で、同研究所に寄贈された標本に、非常に特徴的な形の歯骨(下顎の骨)を見つけ、新属新種Ratchasimasaurus suranareae(和名:ラチャシマサウルス・スラナリアエ)として報告することとなりました。
このイグアナドン類の下顎の骨の標本(レプリカ)を10月8日㈯から恐竜博物館3階ギャラリーで展示いたします。
今後も同研究所と共同研究を進め、日本と東南アジアの恐竜の関係を明らかにしていきます。
記
1.論文題目A new iguanodontian dinosaur from the Lower Cretaceous Khok Kruat Formation, Nakhon Ratchasima in northeastern Thailand. (邦題:タイ王国東北部ナコーン・ラチャシーマ県の下部白亜系コク・クルアト層から発見された新しいイグアノドン類について)
2.掲載雑誌Acta Geologica Sinica (English Edition) Vol. 85 No. 5 pp.969-976
中国地質学報(英語版) 85巻5号969-976ページ
(DOI: 10.1111/j.1755-6724.2011.00230.x アブストラクト)
3.内容発見された歯骨(下顎の骨の一部)が、他の種類のイグアノドン類と比べて、非常に比較
的扁平で前方に細長い形態を示すことから、新属新種であることが判明した。
学名:Ratchasimasaurus suranareae
(日本語表記:ラチャシマサウルス・スラナリアエ)
学名の由来:属名;Ratchasima-、 発見された場所ナコーン・ラチャシーマの古い呼び
名。saurus:トカゲの意(恐竜に一般的に用いられる表現)種小名;suranareae、19世紀に
この地域をラオス軍の侵略から救った女性、タオ・スラナリに由来。
4.意義近年、アジアの同時期の地層から、多くのイグアノドン類が報告されている。原始的なイ
グアノドン類からより進化したハドロサウルス類への進化の過程やその広がりを知る上では本
発見は重要な情報であり、東南アジア地域にも多様な恐竜がいたことを示す証拠となる。
以上