三畳紀主竜類の、頭部より後方の骨格が含気である証拠の再評価および鳥類呼吸の早期進化

8,000m以上の高度を飛んでヒマラヤ越えの渡りをするアネハヅル。それを可能にするひとつは、優れた呼吸器系にあります。哺乳類とは異なり、気嚢を用いる一方向の呼吸により効率よく体内に酸素を取り入れることができるからです。

 

この呼吸器系は鳥類につながる恐竜の系統で進化したのか、それとも恐竜より前の主竜類の段階から備わっていたのか、そんな問題にこの研究は答えを与えています。

まず、現生唯一の主竜類であるワニでは、呼吸は一方向ですが、本当の気嚢や頭部より後方の含気骨格(PSP)は備わっていません。

PSPは、非鳥獣脚類、竜脚類や翼竜のような絶滅主竜類における気嚢の存在を推測するために使うことができるが、特にワニに連なる系統の呼吸器系進化は十分に文書化されてきていないとしています。

この論文では、鳥類に連なる系統、ワニに連なる系統、両系統の主竜類の骨格を、外群の双弓類骨格とともにCTスキャンで調べています。

その結果、PSPが存在する明白な証拠は、鳥類に連なる主竜類(オルニソディラ類)にのみにあるとするこれまでの証拠を確認したとしています。そして肺の気嚢はオルニソディラ類の共通祖先に存在していたが、その後いくつかのクレード(特に鳥盤類恐竜)で失われたとしています。これら鳥のような呼吸系系の特徴は、オルニソディラ類の活動レベルの増加にリンクしていることが推測されます。

一方、どのワニに連なる系統の主竜類(Pseudsuchia 偽鰐類)も明白なPSPの証拠を示さないが、これらの多くの分類群で、オルニソディラ類で常に気嚢とともに存在するラミナと窩が、存在している。これらのラミナと窩はオルニソディラ類と相同の可能性があるが、それは肺の気嚢の退縮または非侵入システムがこれらの分類群に存在した(あるいはワニ類では二次的に失われた)、またそれは主竜類全体に潜在的に原始的だったという仮説に対するさらなる研究の必要性を示唆するとしています。

Butler RJ , Barrett PM , Gower DJ (2012)

Reassessment of the Evidence for Postcranial Skeletal Pneumaticity in Triassic Archosaurs, and the Early Evolution of the Avian Respiratory System.

PLoS ONE 7(3): e34094. doi:10.1371/journal.pone.0034094 論文

参考:Archosauromorph Research Group

 

 

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